この空の花 - 「長岡映画」製作委員会 この空の花

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映画化の道程(8) 2011年6月号掲載

大林組、いよいよ本気モード突入

■撮影監督、演出チーフ、美術監督が勢揃い

茅葺きの家にて
茅葺きの家にて
 4月27日正午前、大林監督は山崎輝道プロデュサ―、加藤雄大撮影監督、竹下昌男演出部チーフを同伴し、4月三度目のお帰りだ。今回の目的はシナリオに基づくロケ候補地の確認作業。加藤さんは長岡花火見物に大林監督を誘い、映画化のきっかけを作ってくれた人だ。
 ロケハントップは刈羽の茅葺の家。次に大積付近の茅葺の家。画廊がある大きな家だ。囲炉裏に火が。心遣いの煙が目に染みるが有り難い。次に左近の模擬原子爆弾投下跡地へ。ここで後発の竹内公一美術監督が合流し、大林組スタッフの勢揃い。監督から早速「ジャガイモ畑が欲しい」との課題が出た。

柿川沿いの公園
柿川沿いの公園
 翌28日は寒かった。本町の柿川沿い某公園へ。美術監督から舞台セットの提案。監督の指示で検討を重ね、ようやく答えが見えたようだ。次は信濃川沿いの趣ある建物を見て、山本五十六生家とお墓へ。監督は堀内大学の詩の「原子炉」の文字に反応。次は如是蔵博物館から山古志へ。木篭、闘牛場と美しい棚田風景を眺める。ホテルへ戻る車中、「長岡は焼けて何もないと聞いていたけど、いいものが残ってるね、安心したよ」と監督が呟いた。夜は「東北の酒を飲む」会に合流。


花火師の西巻さん
 翌29日は花火工場の見学。先ずは小千谷の工場へ。西巻夫妻の案内で工程順に丁寧な説明を頂いた。次に加茂の花火工場へ。途中、栃尾の街並みと美術館に立ち寄る。小腹も空き、揚げたての「あぶらげ」にもかぶりついた。
 加茂では阿部社長から花火の説明を受ける。監督が「西の花火と新潟の花火の違いは」と問う。社長は「花火は土地の気質が出る。西は繊細、新潟は豪快」とのお答え。要塞仕立ての堅固な倉庫から三尺玉が現れた。その存在感に皆圧倒された。
 長岡への帰路、さらにジャガイモ畑候補地を探す
花火師の阿部さん
が見つからない。夕暮れ、三島の某うどん店付近の旧街道をご案内。さらに与板の楽山苑敷地を一周。夕闇せまる頃、ついにジャガイモ畑の候補地を発見!

 翌30日は柿川沿いのロケハン。最上流の柿から街中までは車でポイント移動。灯篭流し会場から本町の某公園まで約二時間、雨天の中を歩いた。14時過ぎ、温かい中華料理で疲れを癒やし、さらに柿川と信濃川合流付近の某神社へ向かう。石畳みの小路脇のひなびた民家にご満悦。予定終了で駅に向かう。帰り間際に監督が囁いた、「これからが本番だよ」と。笑顔ながら目は真剣。いよいよ本気モード突入だ!

  

(昼行灯)