この空の花 - 「長岡映画」製作委員会 この空の花

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映画化の道程(5) 2011年3月号掲載

ヒロインは17歳の高校生、元木 花。

■製作委員会で突然の重大発表?!

 2月4日、大林監督夫妻と山崎プロデューサーの三人は長岡駅に降り立つや、14時から商工会議所で開催される製作委員会記者会見に駆けつけた。初めに渡辺製作委員会代表からポスター、チラシ、ピンバッチなどが紹介された。デザインは何れも長岡造形大学の福田毅教授の力作。鮮やかな黄色を背景に世界共通手話の「I love you」サイン。手形の中には嘉瀬花火師の三尺玉が花咲き、アピール度満点の仕上がり。


世界共通手話「I love you」
 続いて、大林監督が「皆様ただいま。映画というものは夢であり、覚めてみる夢です」と話し始められ、「映画『この空の花(長岡花火物語)』はこれまで仮題でしたが、今日ここで仮題を取り払います。決意の日でもあります」といきなりの重大発言。更に「少しだけストーリーを語ります」と、静かに語り始めた。会場はシーン、皆が固唾をのむ。


ポスターは福田毅教授がデザイン
 「ヒロインの名前は元木 花(はな)。17歳の高校生。この子は戦災にあった時に母親の背中で柿川の中で死んだ子。その子が現代に甦り、長岡の物語を同じ年代の子供達、更に未来に生きる子供達に戦争と平和を伝えようと。花が書いたシナリオが演劇になりいくというのがこの映画の一つのシーンになっている。柿川に大きな舞台を作り、上流に向かって過去から未来へ登っていく。下流に向かって未来に向かう願いが流れていく。過去から未来に繋がる現代が舞台である。この舞台で長岡のいろんな記憶や願いが登場して物語を語っていく」と、次々とストーリーが明かされた。我らは聞き入りながら感無量。去年の3月に監督に直談判してから11ヶ月、ようやく、ここまでこぎ着けた喜びに暫し浸った。

 説明後の質疑応答では「キャストは?」「スケジュールは?」等、多くの質問が寄せられ、監督は終始にこやかな対応。1時間弱で終了。


店内は大林映画のポスターがいっぱい
 「腹が減ったな、昼飯にしようか」の監督の声で、スタッフが「長岡にも尾道ラーメンがありますが」と言い出す。「本当?行ってみるか」で直行。川西にあるこちらの店主夫妻は、大林監督と尾道の大ファンで店内は大林映画のポスターがいっぱい。上品な味で監督夫妻も「旨い!」の声。大盛りにすれば良かったな。

 この後、17時に森市長と面談。18時30分、第2回製作委員会出席。20時、映画協賛者との交流会に参加いただいた。


映画協賛者との交流会

 翌日は10時にホテルを出発。演劇の舞台設置を予定している柿川の某地点を視察。豪雪で埋没状態ではあったが、監督は「ここに舞台を、両側にスロープ、川の中を一輪車が走って…」とイメージを膨らませていた。
 次に、某製作委員のたっての推薦で日本尊互社を見学。此処も豪雪で大変な状況。雪に足を沈めながら展示場にたどり着く。貴重な展示品の数々に「素晴らしい」の一言。感激のご様子であった。


何処も豪雪で大変な状況

 いよいよ長岡駅でお見送り。「監督、次のお帰りは」とお聞きすると、「そうだね、脚本ができ上がるのは3月末。その頃に竹下美術監督と山崎プロデューサーが来るかな」。みんなで「I love you」サインを交わし、昼過ぎの新幹線で上京された。今回はとにかく忙しく監督得意のジョークもイマイチ冴えなかった。恭子夫人がボヤいていた「話しかけても上の空なんですよ。シナリオで頭がいっぱいでね」だって。監督お疲れ様でした。


日本尊互社も深い雪の中

(昼行灯)