この空の花 - 「長岡映画」製作委員会 この空の花

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映画化の道程(4) 2011年2月号掲載

冬の古志 虹の架け橋 幸招き

■ロケハン 山古志~摂田屋

 12月下旬、映画の脚本を執筆中の長谷川孝治氏がお忍びで長岡入り。柿川をひとりで探索されたご様子、良き物語に巡り合えただろうか。


脚本家と監督は一心同体にならなければならない
 大林監督も長谷川氏を追いかけて一日遅れて長岡入り。監督と我らは殿町某店で懇親会中の長谷川氏と夜九時過ぎに合流。すっかり出来上がっている長谷川氏を肴に皆と酒を酌み交わす。しばらくすると、長谷川氏が監督の手をおさすりし、時には強く握りしめながら語りはじめた。「脚本家と監督は一心同体にならなければならないのだよ。そうしなければ敵対し、いがみ合ってしまうからね」ということで、監督もご満悦。なんとも微笑ましい光景でございました(笑)。その後、宿に戻られた監督と長谷川氏は、さらに脚本づくりの奥深い話合いをされたそうで、ご就眠は三時近かったようだ。


対岸には震災崩落現場
 翌日は生憎の雨模様だったが、監督の「今年の内にみんな観ておきたい」とのご要望で、一行は山古志に向かった。途中、妙見堰上流河川敷で信濃川の風景と震災崩落現場を対岸から視察。冬の天気は変わりやすい。急に雨が止み、雲の切れ間から明るい青空が見えてきた。寝不足の監督には、水辺の清清しい空気をご満喫頂いたようだ。車に乗ろうと後ろを振り返ると、監督は崩落現場に向かい、合掌中。

 小千谷市経由で雪景色の山古志に入り、サテライト山古志「茶坊主」に立ち寄り、震災のビデオや資料に目を通された。11時過ぎ、そこで監督の遅い朝食。山古志産おにぎりと漬物が美味しいと喜んで頂いた。帰り際に、「採ったばかりのキノコ」だからとお土産に頂く、大変お世話になりました。

 

 次に、東竹沢地区の河道閉塞現場をご案内すると自然の驚異に唖然とされる。我らの震災説明に頷きながら周囲に目を向けられていた。と、青空で雨降る空になんと見事な虹の架け橋が。一同大感激!「冬の古志 虹の架け橋 幸招き」かな。感激余韻の中、中山隧道見学で山古志人の底力を知る。木篭地域の家屋埋設の壮絶な震災を目にした監督は、終始厳しい表情。闘牛場でやっと笑顔。「闘牛を是非観たいね」と興味津々。トンネルを抜けて虫亀地区の棚田(棚池)に案内すると、「素晴らしい」と感動の一言。写真の館に立ち寄り棚田や自然の写真を観ながらご主人と親しく話されてご満悦。「来年来ます」と約束されて山古志を後にする。監督のハートに山古志の風景がインプットされたのを確信する。


「冬の古志 虹の架け橋 幸招き」かな。

 途中、ふらっと蓬平温泉の某旅館に立ち寄る。すると旅館はいきなりの停電だ。「監督のせいだ」と戯れていると女将が笑いながら心も温まるコーヒのおもてなし。さて、腹も空き、遅い昼飯は、意中の背脂ラーメンに突撃です。「尾道も背脂なんだよ」と、黙々と長岡食の文化を平らげ、ご感想は「うまい。麺が細くてもいいねー」でした。


旧三国街道・摂田屋を探索
 食後「まだ明るいから、もう少し見れるね」ということで、摂田屋へ。旧三国街道を探索したら「いいねー」。小路も機那サフラン酒本舗の鏝絵蔵も「いいねー、いいとこ有るじゃないか」で、すっかりお気に入り。
 日も落ちて長岡駅へ向かう。待ち時間に駅構内の某喫茶に入ると、監督はメガネをサングラスに替えながら、悪戯ぽく「これはお忍び用でね」と。我らは笑いながら「監督、何やってもバレバレですよ」と即応戦。今回のロケハン収穫にすこぶる上機嫌の監督。優しい大林スマイルで「12月末で脚本があがるから…、今度は本格的なロケハンになるよ、楽しみだね」と言い残し、18時過ぎの新幹線で上京されました。


背脂ラーメンに突撃!

(昼行灯)